2022/07/13
覚えておきたい着物の豆知識~訪問着と附下げ~
訪問着(ほうもんぎ)や附下げ(つけさげ)は、結婚式や入学式、卒業式、七五三などフォーマルシーンから、観劇やお食事会などカジュアルシーンまで幅広く着ることができますね。
訪問着と附下げは、どちらもフォーマルな着物に分類されますが、その違いをご存知ですか?
今回は、訪問着と附下げの違いをわかりやすくご紹介しますね♪
華やかで格が高い王道のフォーマル着物、訪問着
訪問着は、既婚・未婚の区別なく着られる、色留袖の次にフォーマルな略礼装の着物です。
訪問着の特長は?
広げると縫い目の部分でも途切れることのない1枚の絵画のようになる「絵羽模様(えばもよう)」が訪問着の特長です。仮縫いで着物の形になった「仮絵羽」の状態で売られているので、訪問着とそうでない着物を判断する目安になりますね。
柄(模様)は、アシンメトリーや裾から肩に伸びた柄など大胆なものが多く、伝統的な古典柄からモダン柄まで、バリエーション豊富なデザインも訪問着の魅力です。
一般的に紋は付けませんが、格調高い訪問着には背紋を入れる方もいらっしゃいますよ。
訪問着を着るとき
結婚式、パーティ、お見合い、結納、お茶会、目上の方を訪問するときなど、既婚・未婚の区別なく幅広く着られるため、着る機会も多いのではないでしょうか?
一般的に訪問着を着るときは、袋帯を合わせます。TPOに応じた格の袋帯や小物を選んでくださいね。
袋帯も小物も金糸や銀糸が入ったものを合わせると格が高くなるので、結婚式などに相応しい装いになりますよ。パーティーなど華やかな場所では、遊び心のあるお好みの袋帯をあわせても素敵ですね♪
紬の訪問着はどういうときに着ていけるの?
染物の華やかさと織物のカジュアルさを兼ね備えた着物が、紬訪問着です。
紬訪問着は、結婚式や祝賀会などフォーマルシーンにはあまり向きません。フォーマルすぎないオシャレな袋帯と合わせて、レストランウェディングや気軽なパーティー、観劇やお食事会に着ていただくのがオススメですよ。
シンプルで都会的な印象の通好みな着物、附下げ
附下げは、訪問着を簡略した略礼装のセミフォーマル着物です。
戦時中に華やかな訪問着が禁止されたため、訪問着を簡略化した着物として考案されました。
附下げの特長は?
附下げは、訪問着と違って絵羽模様ではなく、背縫いで模様もつながっていません。反物のまま模様を染めているため、反物の形で売られていることがほとんどです。
柄(模様)はシンプルで落ち着いたものが多く、お茶やお花を習っている方や着物通の方に人気がありますよ。
一般的に紋は付けませんが、お茶会用のものであれば、縫いの一つ紋が良いとされています。
附下げを着るとき
附下げは、結婚式、披露宴、パーティ、お見合い、お茶会、入学式や卒業式、七五三、コンサートなど、訪問着と同じように幅広く着られます。合わせる帯によってフォーマルにもカジュアルにも幅広く着られるため、1枚あると重宝する着物ですよ。
セミフォーマルな着物なので、合わせる帯は袋帯が基本ですが、洒落袋帯や織りの名古屋帯も締められます。
フォーマルシーンでは金糸や銀糸の入った重厚感のある袋帯を合わせることで格を上げ、華やかさを演出。カジュアルシーンでは染の名古屋帯で季節感を演出するなど、TPOに応じた帯と小物とのコーディネートを楽しんでくださいね♪
訪問着と附下げの違いは?
訪問着と附下げはどちらもフォーマルシーンからカジュアルシーンまで幅広く着られることと見た目は似ていますね。
同じ略礼装の着物でも、訪問着の方が格が高く、絵羽模様でデザインも華やかです。附下げは、訪問着に比べて柄が小さめでシンプルなことと、縫い目で柄がつながらないため落ち着いた印象になります。
また、附下げを仕立てるときはお好みで八卦(はっかけ)を選べますが、訪問着は表地と同じ生地で染められた「共八掛(ともはっかけ)」が付いていることが多いですよ。
まとめ
華やかで格の高い訪問着も、シンプルで都会的な雰囲気のある附下げもどちらも幅広いシーンで着られる素敵な着物です。TPOや気分に合わせてオシャレを楽しんでくださいね♪