2022/07/13
知って得する♪ きものふしぎ発見〜吉祥文様〜
知ってますか?「文様」と「紋様」の違い
着物の模様を指す言葉で「文様」と「紋様」が良く使われますよね。
この両者の違いってご存知ですか?
簡単に説明すると、広い意味での「模様」を特定の分野で使うときに「文様」と「紋様」を使い分けているらしいです。
正式な決まりではありませんが、放送現場などでは美術・工芸における模様を指すときには「文様」、織物・染め物などの特定の分野の模様を指すときには「紋様」と使い分けているようです。
ですので今回のご紹介では、柄全般の説明の時には「文様」を使い、特定のきものの柄を呼ぶときには「紋様」を使うことにしますね。
吉祥文様 松
古代中国で、1年中緑色を保つ松は、長寿の象徴とされました。
日本でも目出度い木とされ、お正月の門松や、能舞台の「鏡板」に描かれる松のように神様を迎える木とされています。
神を待つ(まつ)木、常盤木と呼ばれ、「常盤色(ときわいろ)」は松の葉の色のことだそうです。立派なお屋敷の庭に松を植えるのも、更に神様のご利益を集めるためなのかもしれませんね。
基本的に松は「不老長寿」を表す吉祥文様として愛されています。
吉祥文様 唐草
つる草が四方八方に伸びて絡みあう生命力を象徴する文様。子孫繁栄や長寿を意味します。
「唐草」という実際の植物が存在するのではなく、葡萄などの蔓を図案化した模様がエジプトなどに始まり、中国を経て日本に伝わったものらしいです。
この名前の由来は、「唐の国から伝わった」から、「からみ草」が略されたなどの語源があります。
世界中に唐草模様は存在しており、英語では「アラベスク」と呼ぶそうです。
画像のようなグリーンに白抜きの唐草模様は「獅子舞のかぶり布」でも使用されていますね。
昔はお祭りのたびに頻繁に獅子舞が出ていたので、大きな唐草風呂敷を担いでいても怪しくない為、泥棒が愛用(?)するようになったともいわれています。
吉祥文様 鶴
鶴は千年、亀は万年から長寿の象徴
鶴は中国では1000年生きる瑞鳥(ずいちょう)とされています。日本でも純白の羽を持ち、立ち姿も飛び姿も美しい鶴は吉祥文様として使われていますね。
また鶴は「つがい」になると生涯添い遂げるので、「夫婦円満」の象徴として結婚式の着物の柄によく使われています。
ちなみに日本一有名な鶴の文様は「日本航空JALのマーク」ではないでしょうか。戦後まもなくJALがフランスのデザイナーに社章を頼んだ時、家紋帳をパラパラめくり「素敵ですね」と指差した「鶴丸」がこのマークになったそうです。
吉祥文様 亀
中国では万年生きるとされる長寿の象徴
日本でも弥生時代の銅鐸に亀の文様が彫られていたそうですし、古墳時代には北を守る神様(玄武)として壁画の北側に亀の図が描かれたそうです。
なかでも甲羅に蓑のように海藻が付いた「蓑亀(みのかめ)模様」は長生きの象徴で最も縁起が良いとされています。
亀の甲羅に見立てた六角形を並べた「亀甲」は亀と同様に長寿を意味する吉祥文様で、硬い甲羅は身を守る象徴としてお守りの柄や、金運の柄ともされているそうです。
ただし亀が手を合わせることが出来ない様子を「手打ちが出来ない」との意味で、商売屋さんから避けられた柄とされている場合もあるそうですよ。
吉祥文様 蓬莱山
中国の理想郷である「蓬莱山」不老長寿や神聖な場所を意味します。
「蓬莱山」は中国の伝説上の山で、不老不死の仙人が住み、松と竹と梅が茂り、空には鶴が飛び、海には亀が泳ぐめでたい理想郷のことです。かぐや姫が求婚者に「蓬莱山の玉の枝を持ってきたら結婚する」といったように伝説上の島で、一説には亀の甲羅の上に浮いているともされています。波間に切り立った岩の小島のように描かれます。
ちなみ滋賀県の大津市に「蓬莱山」という実際の山がありますが、この場所は伝説の理想郷ではありません。
意味を知るとより文様に親しみがわきますね。
お手持ちの着物や小物などに描かれた文様について調べてみるのも楽しいかもしれません。