手業の極限の「美」

平素は和わ高蔵寺店をご愛顧賜り誠にありがとうございます。

普段なかなか見ることのない「本物」を紹介する産地応援プロジェクト。

今回は「伊勢型」を紹介します。

伊勢型紙を使って染められる伊勢型小紋は古くから伝承されてきたにも関わらず、現在では後継者不足によりその伝統が失われつうある貴重な存在となって参りました。

是非一度、伊勢型小紋自慢の【手業、究極の「美」の世界】をご堪能ください。

伊勢型紙の歴史

伊勢型紙の歴史は古く、その発祥については諸説あります。室町時代の文献に型紙を使った染職人が描かれていることから、町時代末期には伊勢型紙があったと推測されます。

その歴史の長さ重要性が評価され、昭和27年に文化庁より無形文化財の指定を受けました。昭和30年には６人の技術者が重要文化財技術保持者（人間国宝）に認定されています。

伝統工芸伊勢型紙

伊勢型紙は高度な彫刻技術と共に、強くて伸縮しない性質の紙が欠かせません。

美濃和紙を柿渋でベニヤ状に張り合わせ、燻煙と感想による伝統的な製法で作られます。その和紙に彫刻刀で、きものの文様や図柄を丹念に彫り抜きます。型紙を作るには高度な技術と根気や忍耐が必要です。

完成した伊勢型を用いて、友禅、ゆかた、小紋などの柄や文様をきものの生地に染めます。千有余年の歴史を誇る伝統工芸品です。

なぜ、今伊勢型紙小紋なのか？

伊勢型小紋は遠目には無地に見えるほど小さな柄を、型染で染め上げた小紋のことです。カジュアルなシーンで気軽に着ることができる小紋としての要素と、控えめながら晴れやかに席にも着ることのできる色無地のような要素をかけ合わせた、幅広いシーンで活躍するきものです。帯合わせのしやすさがきもの初心者の方にも、個性を引き立てさせる小物合わせの楽しさが上級者の方にもオススメです。

お洋服を着る機会が多い現代。派手すぎない装いとして着やすい伊勢型小紋は、自分らしさの表現ができるきものとして１枚あると重宝します。

伊勢型小紋？江戸小紋？

伊勢型小紋も江戸小紋も同じ意味で使われます。江戸小紋は、江戸時代の武士の裃（かみしも）から発展したものから由来しています。

身分の高い人ほど細かい柄のものを着ていたことから、細かい柄を型紙に彫ることのできる職人が重宝されていたそうです。江戸時代中期には、町人のきものに伊勢型小紋が施され、江戸の粋なきものとして普及しました。

伊勢型紙が三重鈴鹿市で脈々と受け継がれてきたのは、かつてここが貿易港として栄、技術ある職人をここに住まわせたことからという説が残っています。

見なきゃ損！今は亡き人の人間国宝の技

日本国内で人間国宝制度ができた年、伊勢型紙の分野から６名の方が選出されました。すべての方がすでにお亡くなりになり30年以上が経ちますが、その当時ほった型紙やその型紙を使って染められたきものは、現在でも貴重な資料としてご覧頂く事ができます。

期間中、そんな特別な型紙や資料を展示いたしますので是非見てくださいね。

【要予約！】トークイベント

人生を型紙に懸ける男

染処古今「田中誠」さん

【開催時間】①10:30〜②13:30〜③16:00〜④18:00〜（最終日は①②③からお選び下さい。）

【場所】和わ豊明店　TEL 0562-91-3033　

PROFILE

昭和43年、京都に生まれる。人間国宝六谷梅軒氏のご子息として、また伊勢型紙彫継承者として活躍中の六谷博臣先生と出会い、1300年の歴史を誇る伊勢型紙に初めて触れる。全国各地での伊勢型紙の実演規格に六谷氏と同行するようになり、伊勢型紙や人間国宝について研究を重ねる中で、その魅力にのめり込むようになる。やがて技術や歴史、特徴といった伊勢型紙のことをもっと多くの方に知ってもらおうと一念発起し、商社を退社する。

後に伊勢型紙を昔ながらの技術できものに染織を続ける染処古今　卸部門店長に就任。

現在は古今取締営業本部長に就任。より多くの人に伊勢型紙・伊勢型小紋・人間国宝のお話を伝えることを生きがいとして全国各地を行脚し続けている。